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韓国、ヒューマノイド中核部品予算を5倍超の620億ウォンに 2027年予算案

韓国財政経済部は2027年予算案でセンサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用二次電池の予算を116億ウォンから620億ウォンに増やした。技術開発と現場実証を支援し、産業通商部の予算案も40.5%増の13兆2573億ウォンとなった。

要約

韓国政府はヒューマノイドロボットの中核部品向け予算を来年5倍超に増やす。韓国財政経済部は9月10日、センサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用二次電池の3つの中核部品に関する予算を、2026年の116億ウォンから2027年政府予算案で620億ウォンに拡大したと発表した。許章(ホジャン)財政経済部第2次官が同日、ソウル市江西区のロボットメーカー、ロボティズを訪れ、業界との懇談会を開いた。

財政経済部によると、3部品は7月14日に公表した「2026年下半期経済成長戦略」で「超革新経済先導プロジェクト」に新たに指定された。世界1位の製品を生み出し潜在成長率を押し上げる政府の看板事業だ。先導プロジェクト全体の予算は2026年の2兆7000億ウォンから2027年案で3兆6000億ウォンと33.5%増える。

新たな予算は、中核部品の性能と信頼性を高める技術開発と、開発した技術を実際の稼働環境で検証、改良する現場実証に充てる。ただし620億ウォンの部品別配分は発表資料で示されていない。懇談会には産業通商部、韓国産業技術企画評価院(KEIT)、ロボティズ、SBBテック、XYZが参加した。

許次官はヒューマノイドの実演を通じ、ロボットの動きを生み出すアクチュエーターなど中核部品の開発状況を確認した。参加企業は予算の大幅増を評価し、技術開発と現場実証の支援が企業負担を減らし商用化を後押しすると述べた。許次官は「センサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用二次電池が新たな成長エンジンとなるよう、2027年予算案で民間を積極的に支える」と語った。

部品予算は大幅に膨らむ産業予算の一部だ。産業通商部は9月1日、2027年予算案を13兆2573億ウォンとし、今年の9兆4342億ウォンから40.5%増やすと発表した。2013年に現在の形で発足して以来、最大の規模と伸び率だという。新設の未来対応基金に計上した同省事業9118億ウォンを含めると14兆1691億ウォンで50.2%増となる。成果の低い事業約1兆5000億ウォン(16%)を削減した。予算案は9月3日に国会へ提出された。

金融面でも資金が動く。産業通商部と金融委員会は7月1日、国民成長ファンドを通じてAI、ロボット、未来車など6分野に今年約16兆ウォンを供給すると表明した。同ファンドは8月、ロボットハンドのウォニックロボティクスへの1500億ウォンの直接出資を承認し、同社は総額3499億9998万ウォンを調達して全羅北道完州に工場を建てる。

部品に焦点を当てる理由はコストにある。金融委は8月、アクチュエーターとロボットハンドがヒューマノイドのハードウエア原価の70%を占め、韓国はロボット密度で世界最高水準ながらヒューマノイド生産は世界の約1%にとどまると指摘した。アクチュエーターはモーター、減速機、制御器、センサーを一つの関節モジュールにまとめた部品で、関節が数十あるヒューマノイドではモジュール当たりの差が全体のコストに積み上がる。

日本の部品産業にとって、これは減速機やサーボといった得意分野に韓国が国産化で踏み込むことを意味する。人手不足を背景にヒューマノイドの導入を探る日本の製造業にとっても、調達先の選択肢が増える可能性がある。サムスン電子が35.0%を持つレインボーロボティクスは8月14日提出の半期報告書で、遊星減速機をベースにした軽量小型の減速機モジュール6種と高出力アクチュエーター制御器4種を設計、製作したと明らかにした。駆動部の設計と生産を内製化し量産コストを下げる狙いだ。

韓国2027年予算案におけるヒューマノイド中核部品(億ウォン)
  • 中核部品(センサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用二次電池)
    2026年
    116
    2027年案
    620
    増減率(%)
    434.5
    出所
    財政経済部
  • 超革新経済先導プロジェクト全体
    2026年
    27,000
    2027年案
    36,000
    増減率(%)
    33.5
    出所
    財政経済部
  • 産業通商部予算
    2026年
    94,342
    2027年案
    132,573
    増減率(%)
    40.5
    出所
    産業通商部
  • 産業通商部(未来対応基金計上事業を含む)
    2026年
    94,342
    2027年案
    141,691
    増減率(%)
    50.2
    出所
    産業通商部

増減率 = 2027年案を2026年予算で割り、1を引いた値。中核部品の増減率はROBOTNESSが公表値から算出、他は各省発表値。推計値なし。

2026年10月1日時点

620億ウォンはまだ予算案で、国会審議で変わりうる。3つの部品群に分けると民間資本に比べ規模は小さく、ウォニックロボティクス1社の調達額がその5倍を超える。支援企業数や技術開発と実証の比率も示されていない。

焦点は、憲法上の期限である12月2日までの国会での予算処理、予算成立後の中核部品事業の公募、そして産業通商部が進めるロボット特化団地と実証事業の連携だ。

ROBOTNESS分析

韓国はヒューマノイド政策の軸を単価を左右する部品へ移しつつあるが、620億ウォンの予算は民間資本の代わりではなく、民間に方向を示すシグナルにとどまる。

根拠は対象の選び方にある。センサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用電池はコストの中心にあり、金融委はアクチュエーターとハンドだけでハードウエア原価の70%とする。同じ優先順位は国民成長ファンドのウォニック出資や、レインボーロボティクスのアクチュエーター内製化にも表れている。

最も強い反論は規模だ。3つの部品群と多くの企業に分ければ、620億ウォンで作れるのは試作品と試験設備で、工場ではない。国内ヒューマノイドメーカーの量産需要がなければ、補助を受けた部品が中国の供給網のコスト曲線に追いつくのは難しい。

強気シナリオでは、予算が原案通り成立し、LG、現代自動車グループ、サムスンのヒューマノイド計画が2027年の試作機に国産のアクチュエーターと電池を採用する。現場実証の信頼性データが輸出受注につながる。

弱気シナリオでは、国会で減額されるか多数の企業に薄く配分され、大手は既存の海外供給元を使い続ける。事業は量産につながらない研究補助に終わる。

注目すべきシグナル:

  • 2026年12月2日まで:2027年予算案の国会処理と中核部品予算の最終規模
  • 2027年第1四半期:アクチュエーター、センサー、電池の公募
  • 2027年:第1四半期公開予定のLGの二足歩行ヒューマノイドに支援企業の部品が使われるか
要点
中核部品予算
2027年案620億ウォン(2026年116億ウォン)
対象
センサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用二次電池
根拠
2026年下半期経済成長戦略(7月14日)
先導プロジェクト全体
3兆6000億ウォン(2026年2兆7000億ウォン)、33.5%増
産業通商部予算案
13兆2573億ウォン、40.5%増
発表
2026年9月10日、ロボティズ(ソウル)
用途
技術開発と現場実証
出典
ROBOTNESS インテリジェンス
  1. 01

    なぜ重要か

    今回の予算は韓国のヒューマノイド政策を部品層へ下ろした。センサー、アクチュエーター、電池を個別の先導プロジェクトに指定したのは、電子と電池の大手が既に量産力を持つ部品に比較優位を見いだす判断だ。

    時期も重なる。補助金(620億ウォン)、政策出資(ウォニックへの1500億ウォン)、大手の計画(LG電子のアクチュエーターとLGエナジーソリューションの電池を使うLGのヒューマノイド)が6週間で同じ部品層に向かった。

  2. 02

    競合分析

    日本の減速機、モーター、センサーのメーカーにとって、韓国のヒューマノイド計画は需要先であると同時に、国産化政策による代替圧力の源にもなる。レインボーロボティクスは減速機モジュールと制御器を自社設計しており、支援対象にも独立部品メーカーの競合にもなりうる。

    LGはヒューマノイドにLG電子、LGイノテック、LGエナジーソリューションの部品を使うとしており、外部の中小部品メーカーが入り込む余地は限られる。

  3. 03

    企業価値の背景

    620億ウォンは民間資本に比べ小さく、ウォニック1社の調達額が3499億9998万ウォンに達する。予算の価値は規模よりも初期実証のリスクを下げ、大手の認定期間を短くする点にある。

    上場部品メーカーの業績に直接響く可能性は低い。効果は2027年の大手ヒューマノイド計画の受注開示で確認されるだろう。

  4. 04

    サプライチェーンへの影響

    アクチュエーターはモーター、減速機、ドライブ、エンコーダーで構成され、ヒューマノイド用電池は狭い空間で高出力と安全性を両立させる必要がある。韓国大手は電池と電子部品を既に量産しており、焦点は減速機など精密機械部品の認定スピードだ。

    日本の精密部品メーカーには短期的には高精度品の需要が生まれうるが、支援で韓国製の代替品が量産水準に達すれば中期的には置き換えの圧力がかかる。

  5. 05

    今後の注目点

    国会審議後の最終額、最初の公募の設計、ロボット特化団地と実証の連携を見たい。完成機メーカーとのコンソーシアムを条件にすれば、実際の調達につなげる意思の表れとなる。

    2027年の大手の開示で、国産アクチュエーターやセンサーの供給企業名が出るかも確認したい。

  6. 06

    アナリストの見方

    見立て:2027年の中核部品予算は補助金、政策出資、大手の計画の方向をそろえるシグナルだが、単独で供給網を築くには小さい。確信度は中程度。2省が金額と目標を公表したが、部品別配分、支援企業数、国会の結論は不透明だ。

    最初の公募がLG、現代自動車グループ、サムスンの購買約束と結び付けば確信度を上げる。

  7. 07

    問うべき論点

    620億ウォンはセンサー、アクチュエーター、電池にどう配分され、実証の比率はどれほどか。韓国で生産する外資系部品メーカーも対象になるのか。

    アクチュエーター単位のコストや信頼性の目標を設け、結果を公表して買い手が比較できるようにするのか。