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LGとNVIDIAがロボット協力で覚書 グループ部品の二足歩行ヒューマノイドを27年初めに公開

LGグループとNVIDIAは8月13日、ロボット、AIファクトリー、モビリティーで戦略的事業協力の覚書を結んだ。LGはJetson ThorとIsaac GR00Tを使う二足歩行ヒューマノイドを2027年1〜3月期に公開し、LG電子のアクチュエーター、LGイノテックのセンサー、LGエナジーソリューションの電池を搭載する。

LGとNVIDIAがロボット協力で覚書 グループ部品の二足歩行ヒューマノイドを27年初めに公開 (イラスト:ROBOTNESS)
要約

LGグループと米NVIDIAは戦略的事業協力の覚書を結び、LGは2027年1〜3月期にNVIDIAの基盤を使った二足歩行ヒューマノイドを公開する。LGの持ち株会社LGは8月14日、具光謨(クグァンモ)代表とNVIDIA創業者のジェンスン フアン最高経営責任者(CEO)が13日、米カリフォルニア州サンタクララのNVIDIA本社で覚書に署名したと発表した。LG電子、LGユープラス、LG CNSのCEOらも出席した。

協力分野はロボット、AIファクトリー、モビリティーの3つ。LGによると、ヒューマノイドには搭載型の推論と制御を担うNVIDIAのJetson Thorを積み、NVIDIAのオープンなヒューマノイド基盤モデルIsaac GR00Tと、ロボット向け安全システムHalos for Roboticsを基に開発する。中核部品はグループ企業が担い、LG電子のアクチュエーター、LGイノテックのセンサー、LGエナジーソリューションの電池を組み込む。

LGは年内に車輪型ロボット「CLOiD(クロイド)」をLG電子の米テネシー工場の洗濯機生産ラインに投入し、実際の製造環境で実証(PoC)を始める。その後、世界の生産拠点や家庭、商業空間へ用途を広げる計画だ。LG CNSのロボット基盤「PhysicalWorks」を使ったロボットデータ工場づくりでも協力し、得たデータと現場経験はLGが自社開発するロボット基盤モデル(RFM)の高度化に使う。両社は技術と事業の専門家による共同タスクフォースを設ける。

署名から4日後、両社はソウルの良才R&DキャンパスにあるLGのデータファクトリーで再び会合を開いたと、LG電子が8月18日に発表した。施設は地下1階、地上3階の延べ1万平方メートルで年末に完成予定。数百台のロボットを配置し、清掃作業を学ぶ住宅の再現空間、テネシーの洗濯機工場を模した製造空間、LG CNSの物流自動化区域、LGイノテックのロボットハンド訓練区域を備える。年末までに約12年分に当たる10万時間の学習データを生成する見通しだ。

LG電子は今年、CEO直轄のロボティクス事業センターを新設した。アクチュエーターなど中核部品の力を生かし、産業用と商業用から家庭用ロボットへ事業を広げる。データファクトリーではNVIDIAのOmniverse、Cosmos世界モデル、Isaacを使う。柳在哲(リュジェチョル)CEOは「ワンLGのシナジーでフィジカルAIの競争力を確保し、総合ロボティクスソリューション企業になる」と述べた。

AIファクトリーの規模も大きい。LGは2027年上半期にNVIDIAのVera Rubinを基にした参照拠点を築き、冷却、電力、IT技術を検証する。2028年上半期には忠清南道天安に80メガワット規模のAIファクトリーへ拡張し、建設期間を20%以上短縮するプレハブ型のモジュール設計を採用する。施設はロボット基盤モデルなどフィジカルAIに使う。モビリティーではNVIDIA DRIVE Hyperionと車載インフォテインメントを組み合わせ、AI定義車両向け高性能計算基盤を開発する。

フアン氏は「フィジカルAIの最も重要な機会は、あらゆる機械が現実世界を理解して推論し、人と共に安全に行動できるようにすることだ」と述べた。具代表は協業の加速で、AIファクトリー、フィジカルAI、モビリティーで共に取り組む課題が明確になったとした。今回の覚書は6月にソウル汝矣島のLGツインタワーで開いた首脳会談の延長線上にある。

日本企業にとって注目すべきは、LGが中核部品をグループ内で調達する点だ。アクチュエーター、センサー、電池はグループ企業、頭脳はNVIDIAという構図で、日本の部品メーカーが入り込む余地は精密減速機など一部に限られる可能性がある。人手不足対策で家電や物流の自動化を急ぐ日本市場では、家庭向けまで視野に入れたLGの動きは競合となりうる。韓国内では現代自動車グループがアトラス2万5000台の配備を計画し、サムスン電子はレインボーロボティクス株35.0%を持つ。

韓国大手のヒューマノイド計画の開示数値
  • LG
    計画
    NVIDIA基盤の二足歩行参照ヒューマノイド
    主な開示数値
    2,027
    単位
    公開年(1〜3月期)
    時期
    2027年1〜3月期
    出所
    LG
  • LG
    計画
    ロボット学習データ目標
    主な開示数値
    100,000
    単位
    時間
    時期
    2026年末まで
    出所
    LG電子
  • LG
    計画
    良才データファクトリー延べ床面積
    主な開示数値
    10,000
    単位
    平方メートル
    時期
    2026年末完成
    出所
    LG電子
  • 現代自動車グループ
    計画
    アトラス配備計画
    主な開示数値
    25,000
    単位
    台
    時期
    今後数年
    出所
    ボストンダイナミクス
  • 現代自動車グループ
    計画
    米ロボット工場の生産能力
    主な開示数値
    30,000
    単位
    台/年
    時期
    未公表
    出所
    ボストンダイナミクス
  • サムスン電子
    計画
    レインボーロボティクス持ち株比率
    主な開示数値
    35
    単位
    %
    時期
    2026年半期報告書
    出所
    サムスン電子
  • ウォニックホールディングス
    計画
    ウォニックロボティクスの増資
    主な開示数値
    349,999.98
    単位
    百万ウォン
    時期
    2026年11月20日払込予定
    出所
    ウォニックホールディングス

各社発表とDART開示に基づく。推計値なし。行ごとに単位が異なり、グループ間の直接比較はできない。

2026年10月1日時点

リスクもある。2027年1〜3月期に公開されるのは参照モデルで、生産量、価格、グループ外の顧客は示されていない。ロボットの知能はNVIDIAのモデルと計算機に大きく依存し、NVIDIAは同じ道具を競合にも提供する。テネシーの実証に使うのも二足歩行型ではなく車輪型だ。

今後の焦点は、年内のテネシー洗濯機ラインへのCLOiD投入、年末の良才データファクトリー完成、2027年1〜3月期のヒューマノイド公開、同年上半期のVera Rubin参照拠点の構築だ。

ROBOTNESS分析

LGはNVIDIAのソフトウエアの上にグループ企業の部品でヒューマノイドを組み立てており、このロボットは製品であると同時にLG部品のショーケースでもある。

根拠は部品構成にある。LGはLG電子のアクチュエーター、LGイノテックのセンサー、LGエナジーソリューションの電池、LG CNSのデータ工場を明示した。ヒューマノイドは、グループ企業が他のロボットメーカーの供給網に部品を売り込むための参照設計となる。

最も強い反論は依存度だ。頭脳、搭載コンピューター、安全基盤はいずれもNVIDIA製で、NVIDIAは同じ道具を全ての競合に提供する。差別化がハードではなくモデルから生まれるなら、LGは誰でも追いつける出来の良い体を作るだけになりかねない。

強気シナリオでは、2027年に公開するロボットが説得力ある性能を示し、LGのアクチュエーターと電池が他のヒューマノイドメーカーから受注し、10万時間のデータと自社RFMが家電や家事作業でのデータ優位を生む。

弱気シナリオでは、公開が遅れるか期待を下回り、テネシーの実証でLGの工場には車輪型で十分と判明し、価値の大半をNVIDIAが握る。

注目すべきシグナル:

  • 2026年末まで:テネシー洗濯機ラインへのCLOiD投入と良才データファクトリー完成
  • 2027年1〜3月期:二足歩行の参照ヒューマノイドの公開
  • 2027年上半期のVera Rubin参照AIファクトリー、2028年上半期の天安80メガワット
要点
合意
戦略的事業協力の覚書、2026年8月13日サンタクララで署名
ヒューマノイド
二足歩行の参照モデル、2027年1〜3月期公開目標
NVIDIA技術
Jetson Thor、Isaac GR00T、Halos for Robotics
LGの部品
LG電子のアクチュエーター、LGイノテックのセンサー、LGエナジーソリューションの電池
工場実証
車輪型CLOiDを年内にテネシー洗濯機ラインへ
データファクトリー
良才に1万平方メートル、年末までに10万時間
AIファクトリー
2027年上半期Vera Rubin参照拠点、2028年上半期天安80MW
出典
ROBOTNESS インテリジェンス
  1. 01

    なぜ重要か

    今回の合意はLGがヒューマノイド競争に加わる最も明確な意思表示で、上場子会社3社を1つのロボットに結び付けた。LG電子、LGイノテック、LGエナジーソリューションにとって、動くヒューマノイドは他のロボットメーカーへ部品を売るための参照設計となる。

    NVIDIAにとっては、計算機、モデル、安全、シミュレーション、大型AIファクトリーを1つのグループと組む案件で、製造業が厚い経済でフィジカルAIの全体像を示す事例となる。

  2. 02

    競合分析

    日本の減速機、モーター、センサーのメーカーにとって、LGのグループ内調達は参入余地を狭める。一方、LGはヒューマノイド用アクチュエーターと電池の新たな供給者として日本勢の競合にもなりうる。

    韓国では現代自動車グループが開示規模で先行し、サムスンはレインボーロボティクスへの出資で臨む。LGの強みはグループ横断の部品力と家電、家庭領域だ。

  3. 03

    企業価値の背景

    覚書の金額、投資規模、出資関係は示されていない。財務効果はグループ企業の部品売上、AIファクトリー契約、ロボット販売で表れるが、いずれも数値化されていない。

    物理的な規模が示されたのは天安の80メガワットAIファクトリーだけで、LGはフィジカルAIとロボット基盤モデルの開発に加え、LGの冷却、電池、電力設備の参照事例にするとしている。

  4. 04

    サプライチェーンへの影響

    LGはアクチュエーター、センサー、電池をグループ内で賄う計画だ。精密減速機など機械部品の調達先は公表されておらず、日本の専業メーカーにとって残された入り口となりうる。

    韓国の2027年予算案はセンサー、アクチュエーター、ヒューマノイド用電池に620億ウォンを充て、LGの部品構成と重なる。

  5. 05

    今後の注目点

    テネシーでのCLOiD実証の結果、良才データファクトリーの完成、年末の10万時間目標の達成を見たい。2027年の公開では研究用基盤か、発売先の顧客を持つ製品かが見えてくる。

    LGのアクチュエーターや電池に外部のヒューマノイド顧客が付くかも、部品戦略を測るシグナルとなる。

  6. 06

    アナリストの見方

    見立て:LGのヒューマノイドは主にグループ部品とNVIDIA基盤のソリューションを売るための手段で、ロボット自体は参照設計に近い。確信度は中程度。部品調達、NVIDIA技術、日程はLGが開示したが、生産量、価格、外部顧客は示されていない。

    外部ロボットメーカーとの部品供給契約や二足歩行ロボットの量産計画が出れば確信度を上げる。

  7. 07

    問うべき論点

    2027年の公開後、二足歩行ロボットの目標生産量と価格はどう設定されるのか。制御ソフトにおけるLG自社RFMとNVIDIAのGR00Tの比重はどうか。

    テネシーのCLOiD実証の結果はどう公表され、工場向けの主力は車輪型ロボットかヒューマノイドか。